こんにちは、愛弓です。
今回お話しするのは、私がまだ、セラピストになったばかりの頃に出会った、40~50代女性のお話。
お体の状態をきいた後、彼女は「体の不調が緩和されず、何件も病院に行って、たらいまわしにされてしまった」と話してくれました。
病院での対応、出会った先生たちの話…彼女の言葉の節々から、怒りにも似た、行き場のない感情を感じました。
でも、その怒りは、体や心の不調を訴えているのに、うまく気付いてもらえなかった、受け止めてもらえなかった悲しみだったんじゃないかなとも思います。
泣いて泣いて、涙が止まるころ、自分の気持ちに気づいた
お体の状態を聞いた後、「いろんな病院に行ったのに、体の不調の原因がわからないどころか、『本当に痛いの?』と疑われてしまった」というお話をしてくれたお客様がいました。
病院での対応、出会った先生たちの話…
彼女の言葉の節々から、怒りにも似た、行き場のない感情を感じました。
止まらなくなった言葉・愚痴は、まるで、自分の感情に気づいてくれない人たちを責めているようにも感じました。
彼女の話を聞きながらマッサージしてると、感情のスイッチが表面化してきて…『きっと、この感情のスイッチを押したら、彼女は泣けるんだろうな~』と思いました。
『泣かせてあげた方がいいんだろうな~』と感じた時には、もうスイッチを押す言葉をかけていて、彼女は泣きだしました。
泣いて泣いて、涙は止まるころ、彼女は自分の気持ちに気づきました。
自分が辛かったこと。
誰にも話を聞いてもらえなくて、オーバーなんじゃないかと疑われたりもして、悲しかったこと。
ここに来て初めて、ちゃんと話を聞いてもらえて、うれしかったこと。
すごく喜んでくれて、彼女は次回予約・指名をして通ってくれました。
誰にも理解されない悲しみは、怒りになった。辛さも悲しみも、ちゃんと受け止められたらいいよね
たぶん、お客様は傷ついてたんですよね。
でも、『自分が傷ついてるんだ』と誰にも伝えることも、理解してもらうこともできなかったのかなって。
もしかしたら、自分自身でも、傷ついてることに気づいてなかったのかもしれないなって。
体のつらさも、心のつらさも…他の誰かに全部を理解してもらうことも、受け入れてもらうこともできないんだなんてこと、わかってるんです。
それでも、誰かに受け止めてほしかったんじゃないかなって思います。
なのに、それを受け止めるどころか、「そんなはずはない」「あなたはおかしい」って否定されてしまって…傷ついた悲しみは、誰かへの怒りに代わってしまったのかなって。
そんな風にも思いました。
彼女は、私が話を聞いたことで、「ちゃんと話を聞いてもらえた」と喜んでくれました。
もちろん、誰かに話を聞いてもらいたかったり、自分の感情を受け止めてもらいたかったのかもしれません。
でもね、もしかしたら、彼女が1番、その悲しみに気づいてほしかった相手は、自分自身なんじゃないかな…なんて思ったりもしました。
辛い時や苦しい時に、それを誰にも理解されなくて、誰かの何気ない一言で傷ついたりもして…
でも、自分自身で、自分の悲しみに気づけないから、自分の心を守ることも、泣くこともできなかったのかなって。
たぶんそれは、病院での出来事ばかりじゃなくて…そういうことがたくさんあったんじゃないかなって。
たくさん泣いて、自分が傷ついたこと・悲しかったことに気づいて、自分の感情を受け入れてあげることができた。
…実は、そんなストーリーもあったのかもしれなと思いました。
※※※
当時の私が何を考えていたのかはわかりません。
感覚的に話してることが多いので…『なんでこんな流れになったんだっけな?』なんて不思議に思っていた記憶もあります。
ただ、『あ、泣かせてあげた方がいいな』と思う瞬間があって、感情のスイッチを押しました。
そして、彼女が泣き始めた時、『ちゃんと泣けて良かったな~』と思いました。
彼女が何を感じ、泣いたことで何が起こったのか…
私にはわかりません。
ただ、自分が辛い時に「つらい」と弱音を吐くことができなかったり、悲しい時に涙を流すことができずに笑ってごまかしてしまう。
そんなこともあるのかなって思います。
少なくとも、私にはありました。
だから、辛い時に「実は、辛いんだよね…」と弱音を吐いたり、悲しい時に泣けたりする場所って、大切なんじゃないかなって思います。
※※
今回は、「体の不調が緩和されず、何件も病院に行って、たらいまわしにされてしまった」と話してくれたお客様のお話をしてきました。
今回のお客様に限らず、こういうお話をされる方はたくさんいます。
今回のように、何件も通ったのが病院の場合もありますが…
仕事がら私が聞くことが多かったのは、治療院やマッサージ店・リラクゼーションサロンな場合が多い印象があります。
それぞれに考え方があるし、それを批判することはできないと思っています。
ただ、体や心の不調があるお客様を、それ以上傷つけるような言葉や態度は嫌だなって思います。
そして、お客様が傷つくような言動をとられてしまった時、自分を責めたり我慢し続けるのではなく、ちゃんとご自身の心を守ってほしいなと思います。
自分が傷ついてることに、ちゃんと気づけるようになるといいなって。